今回は、ECサイトを運営されている事業者様に向けて、RPAの導入事例をご紹介したいと思います。ECサイトの運営と言っても様々ですが、ある程度の規模になると在庫管理の側面からカートシステム(ユーザがサイトで商品を購入する際に使用するシステム)とWMS(商品の在庫や出荷を管理するシステム)を併用されている事業者様がほとんどではないでしょうか。
カートシステムとWMSは別々のクラウドサービスですので、 “システム間のデータ連携をどのように実現するか”が課題となってきます。
カートシステムとWMSのデータ連携について
カートシステムとWMS間のデータ連携で最も多いのが、カートシステムで受けた注文情報をWMSに連携する“受注データの連携”と、WMS側で管理している出荷情報をカートシステムに連携する“出荷データの連携”です。
受注データの連携
カートシステムでユーザから注文を受けた場合、在庫管理を行っているWMS側で商品の在庫を確保し、速やかに出荷の工程を進める必要があります。注文を受けた場合はなるべく迅速にWMSへデータ連携を行う必要があります。
複数のECサイトに同一商品の掲載を行っているケースでは、受注データの連携にリアルタイム性が求められます。データ連携が遅れる事で、欠品注文が発生するリスクが高くなるためです。
出荷データの連携
ユーザはECサイトで出荷状況を確認する事になるため、WMSからECサイト(カートシステム)へのデータ連携が必要になります。
データ連携の方法について
“受注データの連携”、“出荷データの連携”には、大きく分けて2種類の方法があります。「カートシステム、WMSに備わっているAPIを用いて両システム間のデータ連携を実現する方法」、「CSVデータを手動でダウンロード・アップロードする事でデータ連携を実現する方法」です。
・APIを用いた方法について
カートシステム、WMSには基本的にAPIというシステム間でデータをやりとりするための受け口が備わっています。APIを使用する事で、「カートシステム側で注文があった際に、WMSに注文データを連携する。」「WMSで出荷状況が変わった際に、カートシステムに出荷データを連携する。」というリアルタイムなデータ連携を実現できます。
APIによる連携は、リアルタイム性が確保でるため有用ですが、APIを利用するための開発コストが発生します。サービスによりますが、APIの利用に対して追加料金が発生するケースもあり、EC運営側のコスト負担が多くなるデメリットがあります。
▼メリット
・リアルタイムなデータ連携を実現できる。
▼デメリット
・開発コストが発生する。
・ランニングコストが発生するケースがある。
・CSVを用いた方法について
ほとんどのカートシステム、WMSはデータをCSVファイルにエクスポートする機能やCSVからデータインポートする機能が備わっています。
これらの機能を利用し、ECサイト運営担当者が任意のタイミングで「カートシステムから受注データをCSVファイルとしてダウンロードし、WMSにアップロードする。」また、「WMSから出荷データをCSVファイルとしてダウンロードし、カートシステムにアップロードする。」ことで、手動でデータ連携を実現できます。
CSVによるデータ連携は、リアルタイム性はありませんが、追加コストなしでデータ連携を実現できるため、EC運営側のコスト負担を軽減できます。
▼メリット
・追加のコスト負担がない。
▼デメリット
・リアルタイム性がない。
・EC管理の担当者が手動で行う必要があるため、作業漏れのリスクや休業日は更新されないなどのリスクがある。
安価なクラウド型RPAを活用し、CSVによるデータ連携を自動化
クラウド型RPAとは
ブラウザ上で行っている定型的な操作をロボットに覚えさせる事で作業を自動化できるサービスです。ブラウザ画面で行っているデータの転記作業やファイルのダウンロード・アップロード操作などが対象になります。
事例1:受注データCSVを連携する作業を自動化
1日1回行っているカートシステムから受注データCSVをダウンロードし、WMSにアップロードする作業をRPAで自動化します。毎日定時にロボットが自動実行さるため、作業漏れのリスクがなく、休業日も含めて自動でCSVデータが連携されます。
事例2:出荷データCSVを連携する作業を自動化
1日1回行っているWMSから出荷データCSVをダウンロードし、カートシステムにアップロードする作業をRPAで自動化します。事例1と同様に、作業漏れのリスクがなくなり、営業日・休業日関係なくデータ同期が実施されます。実行頻度を増やす事(実行頻度を1時間置きにするなど)で、リアルタイム性を向上させる事ができます。
CSVのフォーマット変換が必要な場合などは、必要に応じてフォーマット変換作業を自動化する事もできます。
事例3:新規会員データの連携を自動化
カートシステムに新しく登録されたユーザをMAツールに自動登録します。RPAは、ECサイトのユーザ一覧画面にアクセスし、昨日登録のあったユーザで絞り込みを実施します。表示された一覧データをコピーします。続いてMAツールにアクセスし、コピーしたデータを登録する作業を一覧件数分繰り返し行います。
RPA導入のメリット
- CSVによるデータ連携を自動化できる。
- 日常的なデータ転記作業を自動化できる。
- 作業漏れ防止。休業日もデータ連携を実現できる。
- 自社の業務に合わせて様々な作業を自動化できる。
- 自動データ連携を安価で導入できる。
EC連携の実績が多いクラウド型RPA『クラウドBOT』とは
クラウド型RPAサービスを利用すると、カートシステムとWMSのデータ連携を自動化することができます。休業日でもロボットが自動的に作業を行い、作業漏れの防止にもなります。
クラウドBOTは簡単な操作でブラウザ操作を自動化するロボットを作成できます。業務に合わせて様々な作業を自動化したい方は、是非チャレンジしてみて下さい。